いろいろな治療法を選択したい方へ
2023.02.10
関節リウマチの診療(診断・治療)は飛躍的に進歩しています!
「新しい治療をとりいれたい方へ」でもお伝えしましたように、関節リウマチの診断・治療はこの10年程で飛躍的に進歩しています。それまでは関節リウマチの進行は止めることが出来ない「不治の病」として考えられていました。メトトレキサート治療薬や生物学的製剤が適応されたことで関節リウマチの進行を抑制することが可能となりました。
そのため関節リウマチの治療目標が「痛みを抑えること」から「寛解導入」「寛解維持」へ認識が移り変わってきました。
当院は、以下の生物学的製剤投与に対応しています。
患者様の状態を診て3ヶ月程度で治療法を見直します
「同じ治療が長期間を続いておりリウマチの症状が改善されない」という患者様は、積極的にご相談ください。
関節リウマチの目標は「臨床的寛解(関節の腫れや痛みのない状態」」とし、目標が達成されるまで、少なくとも3ヶ月程度毎に薬物療法の見直しが必要とされています。
また、「寛解(※)」を目指した治療を行います。「寛解」とは関節の腫れや痛み、炎症がほとんどない状態をいいます。
関節リウマチ治療の基本は薬物療法です
関節リウマチの治療薬の期待できる効果は、大きく2つに分けることができます。
痛みを和らげるための薬と免疫異常に働きかけて疾患自体を是正する抗リウマチ薬です。
これまでの治療は、関節を安静に保ち、非ステロイド性抗炎症薬(鎮痛薬)、ステロイド、次いで抗リウマチ薬、効果不十分であれば他の薬剤追加または変更というように少しずつ段階的にステップアップし治療をしていました。
しかし、関節リウマチは適切な治療が行われていない方では発症2年程度までに70~90%に関節破壊がされ、その状態は、単純レントゲンで「骨びらん」の出現が確認できることがわかりました。関節破壊を予防するためには診断後、できるだけ早く抗リウマチ薬で治療を開始し、寛解を達成することを治療の目標とすることがリウマチ学会からも提言されています。
非ステロイド性抗炎症薬 | 関節痛や腫れを和らげる効果がありますが、関節リウマチに対する免疫異常是正作用や関節破壊抑制作用は証明されていません。以前はほぼ全ての関節リウマチ患者さんに投与されていました。現在では抗リウマチ薬が効果を発揮して関節炎が沈静化するまでの補助薬として使用されています。副作用として、消化管出血、消化管潰瘍があり、特にステロイド薬もしくは少量のアスピリンとの併用で頻度が増すことが知られています。他にも腎機能障害や心血管障害のリスクが報告されています。 |
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ステロイド薬 | ステロイドには強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があり、少量の使用でも痛みを急速に緩和して、関節リウマチの症状を改善させますが、関節破壊抑制作用は証明されていません。妊婦などを含む抗リウマチ薬が十分に使用できない場合や発症早期で炎症が強い場合にのみ投与を考慮します。長期間使用を継続すると副作用が強く出現するため、補助的な使用という位置付けです。メトトレキサートや生物学的製剤により関節リウマチのコントロールが可能となった現在では、必要最低限、最低量で使用し、可及的速やかに減量し中止することが大切です。 ステロイドの副作用は軽いものとしてはムーンフェイス、中心性肥満、痤瘡(にきび)、白血球増多、多毛などがあり、特に注意が必要な副作用としては感染症、骨粗鬆症、骨折、動脈硬化病変(心筋梗塞、脳梗塞など)、ステロイド性糖尿病、消化管潰瘍、白内障、緑内障、高血圧症、脂質異常症、副腎機能低下、精神症状などがあります。 |
抗リウマチ薬 | 抗リウマチ薬は免疫異常を抑えて関節の炎症や活動性を抑制する薬です。効果が出るまでに平均2~3ヶ月程度かかります。また効果には個人差があり、有効例と無効例があります。現時点で投与前に有効か無効かを判断することは出来ません。有効であっても長期間使用することで効果が減弱する場合があり(エスケープ現象)、その際は他剤への変更を考慮します。
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生物学的製剤 | 生物学的製剤は、より狙い撃ちしたピンポイント治療になり、また、細胞の表面にある分子にしか作用しないため、高用量を用いても生体の負担が少ないと言われています。しかしながら、炎症性サイトカインや炎症細胞は、本来自分の体を外的から守る免疫が活性化したときに必要となるものですので、これらを抑えすぎてしまうと、感染症にかかりやすくなるのに加えて、体に潜んでいた病原体(結核菌、B型肝炎ウイルスなど)が活発化してしまうことがあります。そのため生物学的製剤は、その使用にあたって、リウマチ専門医による適切な評価と注意が必要な薬剤です。また、生物学的製剤は遺伝子工学の手法を用いて製造されているため、値段が高いという短所があります。 ※数種類ある生物学的製剤のうち、どの薬剤を使用するかは、標的、症状の程度や進行、合併症の有無など副作用の起こりやすい背景を持っているかどうか、生活スタイルなど様々な点を考慮して、患者さんご本人と相談しながら決めていきます。 |